sumiirokemomo

創作BL『プロメチウム彗星』管理人のメモ置き場

眠るのならば桜の下が

自分が将来死んだときに入る墓を買った

悩み続けていたことの一つがようやく解決して肩の荷がおりる

 

ハルカさんの知り合いの人のお寺

花がたくさん咲いていて前から『いいところだな』と思っていた

 

樹木葬を選択したら『好きな木を選べるよ』って言ってもらえたから

色々考えて桜に決める

土に埋められて見上げ続けるならきれいな花を春に見たいから

 

別れの季節に咲き始めて出会いを終えた頃に散っていく

春に花が咲いて夏は緑

秋には紅葉して冬は枝だけ

季節の流れがわかりやすくて花が咲けば春だってわかる

 

一年過ぎたと知ることができる

 

花がピンクってのも最高

ピンク色は那央の色

那央にとってピンクは『勇気』の色

大事にしたいと思う色

 

俺たちが出会った時も外では桜が満開だった

 

 

俺がいなくなった後

那央が誰かを好きになった時には

冬に裸になった桜を見て心の区切りをつけてほしい

 

俺を忘れられなくて苦しい気持ちから逃げられないなら

裸の桜が春に花をつけるのを見て俺の言葉を思い出してほしい

 

 

墓の事は那央には言わないつもりだけど

ずっと一緒に生きていくって約束をしたから

俺の隣に那央のお墓も買った

 

もう何年も俺は一人じゃなかったから

 

当分死ぬ予定なんかない

でも人だからいつかは終わる

終わったら喋ることはできない

自分で決めることができるのは

生きてる間だけだから

 

 

墓を買って終わりを意識したからなのかもしれないけど

那央の笑った顔を見るだけで少し泣きたい気分になる

 

 

 

俺はさあ

死んだら焼かれて土に埋められて

桜の木と空を見上げ続けるんだ

 

ピンクの花と水色の空

那央の髪と目の色じゃん